花蜜と甘露はちみつ:はちみつ、栄養成分と効能

花蜜

はちみつは、ミツバチがさまざまな花から採集してきたみつです。これは「花蜜」、あるいは「ネクター」と呼ばれます。花蜜は、草花から採集したものと、樹木の花から採集したものがあります。レンゲやタンポポ、菜の花、クローバーなどのはちみつは、春の草花から採られたはちみつです。一方、柿やアカシア、ミカン、クリ、ノバラなどのはちみつは、春に花を咲かせる樹木の花から採ったはちみつです。これら、春のはちみつは、透明度が高く、クセのない、ソフトな舌触りが人気のはちみつです(栗の花のはちみつは、少々クセがありますが、それがお好きな方も多いようです)。
ミカンの花のはちみつは、淡い黄色が美しく、いかにも清楚な春のやさしい口当たりです。甘酸っぱい柑橘系の香りがさわやかでファンが多いはちみつです。

一方、夏には夏のはちみつがあります。たとえば、そばやアザミ、ひまわりといった夏の草花からとったはちみつがあります。また、夏の樹木の花には、トチやハゼ、ぼだいじゅ、カラスザンショウなどがあり、これらの花から採ったはちみつが、春とはまた違った個性で楽しませてくれます。夏の草花、樹木の花に由来するはちみつの特長は、やや色が濃い目で味や香りも個性的なものが多いということでしょうか?
たとえば、そばのはちみつは、黒褐色で、一見したところ黒砂糖のようです。カリウムや鉄分などのミネラルが豊富なはちみつは、栄養的にも優等生です。個性的で、コクのある味わいは、お菓子作りやお肉料理の味つけに大活躍です。

甘露はちみつ

一般にはちみつというと、ミツバチがレンゲやクローバー、アカシアなど、さまざまな草花や樹木の花から採集してきたものとして知られています。これは「花蜜」あるいは「ネクター」と呼ばれるものです。一方、はちみつのなかには、ヨーロッパで「森の蜜」と呼ばれている、別の種類のはちみつ「甘露はちみつ」があります。これらはヨーロッパの家庭で伝統的に用いられ、愛されてきたもので、さまざまな木の樹液や植物に寄生するほかの昆虫が出す分泌物をミツバチが採集してきたものです。

日本ではほとんど販売されていないことから、一般的にお目にかかることも、その味を試す機会もあまりありません。しかしヨーロッパにご旅行などで行かれた際には、ぜひ、食してみられてはいかがでしょう。ひょっとしたら病みつきになってしまうかも・・・しれませんね。

たとえば、ドイツで、「もみのはちみつ」と呼ばれるはちみつが愛され、また珍重されています。ドイツの最高級に位置するはちみつです。実はこのはちみつ、もみの木の花?ではなく・・・もみの木に寄生する「アブラムシ」の分泌物をミツバチが集めてきたものなのです。ミネラルが豊富で、色は黒蜜のような褐色をしています。麦芽糖のような香りがし、ブドウ糖や果糖がその大半を占めるはちみつと異なり、ショ糖が多いのが特徴です。

花蜜も甘露はちみつも、それぞれの地域で、それぞれの食生活の伝統のなかで育まれてきた自然食品です。世界各地を回る機会があれば、これらの地域色豊かなはちみつをぜひ、味わってみてはいかがでしょう。

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