ローヤルゼリー:はちみつ、栄養成分と効能

ローヤルゼリー

はるか昔、紀元前4世紀に哲学者アリストテレスが、その著書「動物誌」にも記したという「ローヤルゼリー」。当時からその豊かな栄養は、神秘な魅力で世界の注目を浴びていました。

ところでこの、はちみつとは色も味覚も異なるクリーム色の液体はいったいなんなのでしょうか? アリストテレスは、この液体に浮かぶミツバチの幼虫が女王蜂へと成長することから、この液体、「ローヤルゼリー」そのものから女王蜂が生み出されると理解していたようです。もちろん、実際にはそのようなことはありません。
女王蜂が生涯にわたって食する唯一の食物、それがローヤルゼリーです。「王乳」と呼ばれるのもそのためです。

同じ有精卵から生まれたミツバチも、孵化した当初は・・・3日間だけですが・・・ローヤルゼリーを与えてもらえます。しかしその後も続けてこの魔法の食物を口にすることができるのは、将来女王となる「女王蜂の幼虫」だけです。そのほかの幼虫たちは、将来働き蜂となるべく、花粉とはちみつが混じったえさで大きくなるのです。

将来、女王として君臨することになる「姫君」は、王台と呼ばれる部屋でローヤルゼリーだけをおなかいっぱい食べてすくすくと成長し・・・働き蜂たちとはまったく別の生涯を送ることになります。身体の大きさは、働き蜂の約2〜3倍に成長します。寿命も3〜4年と、働き蜂の30〜40倍の長寿を全うするのです(働き蜂の寿命はせいぜい1ヶ月程度といわれています)。

女王蜂

ミツバチたちの社会は、女王蜂と呼ばれる、特殊な能力を備えたメス蜂によって支えられています。同じメスのミツバチでありながら、働き蜂には通常、産卵能力はありません。ミツバチ世界の生命は、この女王の背にかかっているのです。

女王蜂は、働き蜂にないさまざまな特殊な、神秘的な能力を持ちます。そもそも身体の大きさからいって、働き蜂の比ではありません。働き蜂の約2〜3倍の身体をもち、その寿命は、30倍〜40倍といわれます。1ヶ月あまりで寿命を迎える働き蜂に対し、女王蜂はなんと、3〜4年の長寿をまっとうするのです。そしてこの長い年月をかけ、毎日約1500〜2000個の卵を産み続けるというのですから、あっぱれとしかいいようがありませんよね。
このある種、神秘的ともいえる女王蜂の能力はいったいどこから生まれるのでしょうか?

彼女の能力を育んだ秘密の食べ物、それが「ローヤルゼリー」です。「王乳」と呼ばれるように、これはまさに王家の食べ物で、女王蜂はその長い生涯を通じて、ローヤルゼリーだけを食べて成長し、生き、卵を産み続けます(ちなみに、ほかのミツバチ・・・働き蜂・・・も孵化した当初、3日間ほどは、ローヤルゼリーの恩恵を受けることができるのですが、その後は花粉とはちみつを混ぜたえさで成長していきます。そしてここが、女王となるべき姫君と、生涯働き続ける働き蜂との決定的な運命の分かれ道となるのです。ミツバチ社会もなかなか大変ですよね!)。
はちみつ同様、この魅惑の能力を生み出す「ローヤルゼリー」の有用性は、古代ギリシャ時代から着目されてきたのです。

ローヤルゼリーの生産

ミツバチ社会において産卵能力をもつほぼ唯一ともいえる存在として、君臨する女王蜂。種の存続をかけ、3〜4年にわたる生涯において、1日1500〜200個の卵を産み続ける彼女が、唯一口にするのが、ローヤルゼリーです。
ローヤルゼリーは、ミツバチが花から集めてきた花粉を働き蜂が体内で消化、分解、生成して、その体内から分泌したものです。はちみつとは色も味覚も異なる、クリーム色の液体です。実際、舌をさすような酸味のある物質で、はちみつの甘さとはまったく違います。

ミツバチの巣では、将来女王となるべき姫君のための特別室が設けられ、そこで生まれた幼虫は、働き蜂から分泌されたローヤルゼリー(だけ)を食べて成長するのです。

このローヤルゼリーの有用性は、古代ギリシャ時代から注目されてきました。そして1950年代、当時80歳を超えていたというローマ法王がローヤルゼリーを飲用したということで健康食品として世界的に有名になったのです。法王は、そのすばらしい効用をたたえる演説までおこなったといいます。
ローヤルゼリーは、働き蜂がその体内から分泌し、まさに彼らの女王のためだけに与えるものですから、実際、自然の状態では、わずかな生産しかありません。現在、わたし人間が有用しているローヤルゼリーは、養蜂家がその高度な技術を駆使し、ミツバチの習性を利用してできるだけ多くを採集することを可能にしたものです。
とはいえ、ミツバチは、わずか0.1gという体重の小さな生き物です。このミツバチが生産するローヤルゼリーがいかに少なく貴重なものであるかは容易にできます。

ローヤルゼリーの栄養素

はちみつは、その80パーセントが糖質で、それに微量にビタミン、ミネラルが含まれているのに対し、ローヤルゼリーは、3大栄養素であるたんぱく質、炭水化物、脂質をはじめとして、人間の健康に不可欠な必須アミノ酸(*必須アミノ酸とは、人間にとって必要なものでありながら、人間の体内で合成することが不可能であるため、食品から摂取しなければならないアミノ酸のことです)のすべてを含む各種のアミノ酸がバランスよく含まれています。またビタミンやミネラルも豊富な、まさに女王蜂が食すにふさわしい食べ物です。

各種ビタミン類については(ビタミンCを除き)、はちみつの数十倍も含まれているというから驚きです。さすが、通常のミツバチの3倍近い体重を誇る女王蜂を成長させるローヤルゼリーだけのことはありますよね!
また、ローヤルゼリー特有の成分として注目されているのが、デセン酸と呼ばれる成分です。そして女性にとって最大の関心事のひとつである「美容」についてですが、「美容のビタミン」ともいわれるパントテン酸が、ローヤルゼリーは、さまざまな食品のなかで群を抜いているのです。
そのため、近年、美しさを追及する女性たち、および長寿を願う世の男性陣も含めて、ローヤルゼリーが注目を浴びています。特に、1950年代に、当時80歳を超えていたというローマ法王が健康のためにローヤルゼリーを飲用していることが学会で報告されたことから世界中で注目を集めるようになったといいます。

ローヤルゼリーの成分

女王蜂がその生涯(働き蜂の30〜40倍の長寿・・・3〜4年・・・をまっとうし、その体重は働き蜂の約2〜3倍にもなります!)にわたって、唯一無二の食料とするのが、ローヤルゼリーです。
彼女に、毎日約1500〜2000個の卵を産み続けるだけのエネルギーを与えるローヤルゼリーとは、いったいどのような成分をもつのでしょうか? はちみつとはどう違うのでしょうか?「王乳」と呼ばれるローヤルゼリーの魔法の栄養素を摂取すればわたしたちもひょっとして、すばらしい健康と長寿、そして永遠の美を手にすることができるのでしょうか?

ローヤルゼリーの成分
●アミノ酸・・・3大栄養素のひとつであり、人体を構成するたんぱく質を合成する栄養素です。
*なかでも必須アミノ酸は、人の健康に不可欠でありながら、人間の体内では合成することができないため、食品から摂取しなければならないアミノ酸です。
・アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、アルギニン、プロリン、チロシン、グリシン、アラニン、シスチン、タウリン、β―アラニン、γ―アミノ酸

・必須アミノ酸(ロイシン、リジン、バリン、イソロイシン、フェニルアラニン、スレオニン、ヒスチジン、メチオニン、トリプトファン)

●ミネラル分・・・健康に不可欠な栄養成分です。

・鉄、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン、カルシウム、ナトリウム、カリウム、リン

●ビタミン類・・・体内に取り入れた栄養をエネルギーに変えるための代謝を促す作用をもちます。
・ビタミンB1、B2、B6、ビオチン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、コリン

●特有成分、そのほか
・デセン酸、イノシトール

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